9.30.2014

【キャリア】知って役立つ労働法

労働法は就職を控えた人にとって非常に大事なものです。

たまたま厚生労働省のホームページに労働法の基礎知識が学べるページを見つけました。

労働法を知ることは、「労働者・使用者双方にとって不可欠」で、「働いていく上でいざというときに役立つ知識」とありますので、私も今回、勉強して、簡単にまとめてみました。



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労働法は労働者を保護するためにあります。
労働法について知識をつけておくことが、自身の権利を守ることにつながります。
労働法の保護を受ける「労働者」には、雇われて働いている人はみんな含まれます。


労働者が集団となることで、労働者が会社と対等な立場で交渉できるよう、
日本国憲法では、
労働者が労働組合を結成する権利(団結権)
労働者が使用者(会社)と団体交渉する権利(団体交渉権)
労働者が要求実現のために団体で行動する権利(団体行動権)
の労働三権を保障しています(日本国憲法第 28 条)。
そして、この権利を具体的に保障するため、労働組合法が定められており、会社は正当な理由がないのに、団体交渉を行うこ とを拒否してはいけないとされています
また、労働組合法は、会社が、労働組合に入らないことを雇用の条件としたり、労働組合の組合員であることなどを理由に解雇や不利益な取扱い(給料の引き下げ、嫌がらせなど)をすることなどを不当労働行為として禁止しています。




労働法では、労働契約を結ぶときには、会社が労働者に労働条件をきちんと明示することを義務として定めて います。
さらに、特に重要な次の6項目については、口約束だけではなく、きちんと書面を交付しなければいけません(労働基準法第15条)。
①契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)
②期間の定めがある契約の更新についてのきまり(更新があるかどうか、更新する場合の判断のしかたなど)
③どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)
④仕事の時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、就業時転換(交替制)勤務のローテーションなど)
⑤賃金はどのように支払われるのか(賃金の決定、計算と支払いの方法、締切りと支払いの時期)
⑥辞めるときのきまり(退職に関すること(解雇の事由を含む))


実際に労働条件が違っていた場合には、労働者は約束通りにするように要求できますし、そのことを理由にすぐに契約を解除することが認められています(労働基準法第 15 条)。
また、賃金などの労働条件は、会社と労働者で交わした約束(労働契約)で定められているものですから、会社は払うと約束した賃金はきちんと支払わなければならず、労働者の同意がないのに、労働者に不利益なものに変更することは、約束違反であり許されません(労働契約法第 9 条)。


働く時間の長さは法律で制限されています。
労働基準法では、1日の労働時間を8時間以内、1週間の労働時間を40時間以内と定めています(法定労働時間、労働基準法第32条)。
法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合には、あらかじめ従業員の過半数代表者又は労働組合との間に、「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署に届け出なければいけません(労働基準法第 36 条「36協定(サブロク協定)」)。
36協定により延長できる労働時間については、厚生労働大臣が定める「時間外労働の限度に関する基準」(厚生労働省告示)において上限時間が示されており、協定内容はこの基準に適合するようにしなければなりません(原則週15時間、月45時間)。
また、会社が労働者に時間外労働をさせた場合には割増賃金を払わなければなりません。
①法定労働時間を超えて働かせた時(時間外労働)は25%以上増し ※
②法定休日に働かせた時(休日労働)は35%以上増し
③午後10時から午前5時までの深夜に働かせた時(深夜労働)は25%以上増し
1ヶ月60時間を超える時間外労働については50%以上の割増賃金を支払わなければなりません
さらにこの割増賃金は雇用形態に関わらず、すべての労働者に適用されます。
「サービス残業」といって法定労働時間を超えて働いているのに時間外手当が支払われないということを聞いたことがあるかもしれませんが、それは労働基準法違反ですので、会社が支払わない場合は労働基準監督署に相談しましょう


会社は1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分の休憩を勤務時間の途中で与えなければいけません(労働基準法 34 条)。
休憩時間は労働者が自由に利用できるものでなければならないので、休憩中でも電話や来客の対応をするように指示されていれば、それは休憩時間ではなく労働時間とみなされます。


原則として有給休暇は、休養のためでもレジャーのためでも利用目的を問われることなく、取得することができます
しかし、会社の正常な運営を妨げるようなことになるときに限っては、会社が別の時期に休暇を取るように休暇日を変更させることができます。
会社は有給休暇を取得した労働者に対して、不利益な取扱いをしてはいけません。


職場のパワ―ハラスメント(パワハラ)とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」を指します。
パワハラに当たりうる行為類型としては、
①暴行・傷害(身体的な攻撃)、
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)、
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)、
④業務上明らかに 不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)、
⑤業務上の合理性な く、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)、
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)、
が挙げられます。
パワハラは内容によっては民法上の不法行為や会社が労働者に対し労働契約上負っている債務不履行責任や、刑法などに触れる犯罪(名誉毀損、傷害罪等)となる場合もあります。
パワハラを受けた際は、会社の相談窓口担当者に相談するなど、会社としての対応を求めることが大切です。
また会社で対応してもらえない場合や、社外で相談したいときは、総合労働相談コーナー、法テラスなどに相談することもできます


仕事と家庭の両立を図りながら、充実した職業生活を送れるように、妊娠・出産、育児、介護をサポートし、働く男性、女性とも仕事を辞めずに続けられるような制度が設けられて います。
まず、出産を予定している女性労働者は、請求により産前6週間(双子以上の場合は14週間)、休業することができます
また、会社は、出産後8週間は、就業させてはいけません(産前産後休業、労働基準法第65条)。
その他、会社に、妊産婦健診の時間を確保することや、女性労働者が医師等から指導を受けた場合に指導事項を守るための措置を講じることを求める規定(男女雇用機会均等法第12条、13条)、女性労働者が育児時間を取得できる規定(労働基準法第67条)もあります。
また、育児・介護休業法によって、原則として子どもが1歳(一定の場合は1歳6か月)に なるまで、育児休業を取得することができます。育児休業は、女性だけでなく男性も取得でき、両親がともに育児休業を取得する場合には子が1歳2か月に達するまでの間で1年間育児休業を取得することができます。
会社は対象となる労働者からの育児休業の申し出を拒むことはできません
さらに、育児・介護休業法は、要介護状態にある家族を介護するための介護休業制度 を設けています。
これは、対象家族一人につき、要介護状態に至るごとに1回、最長で通算93日間取得することができます。
会社は対象となる労働者からの介護休業の申出を拒 むことはできません
妊娠又は出産したこと、産前産後休業又は育児休業などの申出をしたこと又は取得し たことなどを理由として、解雇その他不利益取扱いをすることは、法律で禁止されています (男女雇用機会均等法、育児・介護休業法)。
こうした不利益取扱いに関する相談は、全国の都道府県労働局雇用均等室で受 け付けています


従来からあった正社員という働き方に加え、「派遣」や「契約社員」、「業務委託・請負」といった様々な働き方をする人が増えています。
自分自身がどのような形態で働きたいのか(働いているのか)を知っておくことは、自らの働く者としての権利を守る上でとても大切です。

①派遣社員(派遣労働者)
派遣では、法律上の雇い主はあくまで人材派遣会社になります。
よって事故やトラブルが起きた際は、まず人材派遣会社が責任をもって対処しなければなりません。
しかし、実際に指揮命令をしている派遣先は全く責任を負わないというのは妥当ではなく、労働者派遣法において派遣元と派遣先が責任を分担するべき事項が定められています。

②契約社員(有期労働契約の労働者)
期間の定めのある労働契約は、労働者と会社の合意により契約期間を定めたものであり、契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了することとなります(ただし、更新により契約期間が延長することがあり ます)。
こうした期間の定めのある労働者は、正社員と比較し待遇が良くないことも多いので、契約社員への転換をせまられた場合などは慎重に検討することが大切です

③パートタイム労働者(パートタイマー、アルバイト)
パートタイム労働者も、各種労働法が適用さ れます。
要件を満たしていれば、年次有給休暇も取得できますし、雇用保険や健康保険、厚生年金保険が適用されます。
平成27年4月1日の改正パートタイム労働法の施行により、パートタイム労働者の公正な待遇を確保をするため、正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大などが行われました。

④業務委託(請負)契約を結んで働いている人
注文主の指揮命令を受けない「事業主」と して扱われ、基本的には「労働者」としての保護を受けることはできません。
ただし、「業務委託」や「請負」といった契約をしていても、その働き方の実態から「労働者」 であると判断されれば、労働法規の保護を受けることができます。
自分が「労働者」として労働法規の保護を受けることができるかどうか困った際には労働基準監督署に相談をしてみましょう