11.29.2015

【お金・保険】年金保険・確定拠出年金(個人型年金)を考える





給与所得者(サラリーマン)にとっての話題ですが、年末調整の時期がやってきました。

年末調整の中にある生命保険料控除の3つの区分の1つに個人年金保険控除があることから、個人年金保険について、加入を検討している人もいるかもしれないので、記事を書いてみました。

今回は、個人年金保険と類似している金融商品の変額年金保険と確定拠出年金について比較してみました。


結論を先に言うと、老後資金を目的とするなら確定拠出年金(DC)を優先的に考えるべき。そのうえで、余裕があれば、個人年金保険を検討しみてはどうだろうか。


関連記事:確定拠出年金と変額個人年金の運用実績の推移



≪確定拠出年金(個人型年金)のメリット≫

・ 拠出金が年末調整で全額控除でき、節税効果が高い(年間拠出額が最大の27万6千円の場合、所得税・住民税が27万6千円控除)。
・ 一時金形式で受け取る場合は、退職金控除の適用があり、節税効果がある。
・ 年金形式で受け取る場合は、公的年金控除の適用があり、節税効果がある。
・ 元本変動型は、インフレ対応可能。
・ 運用益は非課税のため投資効果が高い。
・ 月5000円から、23000円の間の1000円単位で、拠出額を年1回変更できる。
・ ファンドごとの損益が1円単位で分かるため、透明性が高い。
・ 手数料が開示されている(1円単位で分かる)。
 ※ デメリットは元本変動型の場合、運用次第で元本割れの可能性がある。
    運用期間中は手数料をとられる。
    金融知識が求められる(積立金の運用指示要)。。



≪個人年金保険のメリット≫

・ 個人年金保険料として、一般の生命保険料とは別に生命保険料控除(年間保険料8万円以上で所得税4万円・住民税2万8千円控除)が受けられる。←年間保険料8万円に近づけると、運用効率がよくなる。
・ 受け取る年金額は定額のため、ライフプランの確実性が増す。
・ 保険のため、死亡した場合、既払保険料よりも少し多めの保険金が受け取れる。
・ 運用指示はしなくてよいので、楽。
※ デメリットは変額年金保険と比較して、保険料が高い。



≪変額年金保険のメリット≫

・ 運用次第で年金額が増加する(外国株式等をポートフォリオに加えていたら、インフレに対応可能)。
・ 個人年金保険よりも、保険料が安い(一時払いにすると、さらに安い)。
・ 保険のため、死亡した場合、既払保険料よりも少し多めの保険金が受け取れる。
※ デメリットは運用次第で、元本割れの可能性がある。
      金融知識が求められる(積立金の運用指示要)。
      ファンドごとの損益状況が不明確で、各ファンドにどのくらい利益が出ているか分からない(手数料が開示されていない)。
   生命保険料控除が一般の生命保険料の区分になってしまい、他に生命保険(年間8万円以上)に入っていれば、控除の対象とならない。





次に、実際にどのくらいの金銭的負担があるのか、比較してみました。
(注) 運用利率は各保険会社・運用会社によって、異なります。より正確で、詳細な情報はFP等にご相談をお願いいたします。



≪確定拠出年金(一時金形式で受け取る場合)≫

拠出者 35歳
拠出額 月23,000円×12か月×25年=総拠出額6,900,000円
運用利回り 0.025%、2%、3.5%
運用益 約2万(0.025%の場合)、約200万(2%の場合)、約400万(3.5%の場合)
年末調整での節税効果 還付金65,200円(年収約300万の場合)×25年=1,630,000円
必要経費 初年度3857円+5892円×22か月+2004円×278か月+給付時432円=691,025円(SBI証券で計算)
受取金は退職金控除内と仮定

節税効果、必要経費を加味した返礼率
113.89%運用利回り0.025%の場合)
142.59%(運用利回り2%の場合)
171.57%(運用利回り3.5%の場合) 



≪個人年金保険≫ 

被保険者 35歳
年金額 100万×10年
年金支払開始時期 60歳
保険料払込み機関 60歳まで

月払い保険料28,920円×12か月×25年=総支払保険料8,676,000円
年末調整での節税効果(年収約300万の場合、還付金約4900円×25年=約122,500円、年収約500万の場合、還付金約6900円×25年=約172,500円)
源泉徴収される所得税はなし。

節税効果を加味すると、返礼率は
116.91%(年収約300万の場合)


≪変額年金保険≫

被保険者 35歳
年金額 100万(予定利率3.5%の場合)×10年
年金支払開始時期 60歳
保険料払込み機関 60歳まで

月払い保険料20,550円×12か月×25年=総支払保険料6,165,000円
雑所得にかかる所得税(源泉徴収):所得税率を10%とすると、所得税は383,500円

返礼率
162.2%



比較のために銀行での預金を検討してみます
≪銀行預金≫
預金者 35歳
預金額 月23,000円×25年
年利率 0.03%(利子所得の所得税率は20%)と仮定すると、利子は19,872円
      0.3%と仮定すると、利子は202,308円

最大のメリットは必要な時にいつでも、引き出し可能なこと。

100.27%(年利率 0.03%の場合)
102.93%(年利率 0.3%の場合)








単純に数字を比べてみると、
第1位 確定拠出年金(元本変動型・利回り3.5%の場合) 171.57%
年末調整を加味せず、60歳時点での戻りだけで考えると、147.95%

第2位 変額個人年金(予定利率3.5%の場合) 162.2%


第3位 個人年金保険 116.91%
年末調整を加味せず、60歳時点での戻りだけで考えると、115.26%

第4位 確定拠出年金(元本保証型・利回り0.025%の場合) 113.89%
年末調整を加味せず、60歳時点での戻りだけで考えると、90.27%


60歳時点の戻りだけで考えると、
確定拠出年金(元本変動型)より変額年金保険の方が、
戻ってくるお金は多い。
ただし、毎年の年末調整で所得税の還付(ちょっとしたボーナス)を
たくさんもらいたい人は、確定拠出年金が良い。

そして、こちらの関連記事で運用実績を比較できます。
確定拠出年金と変額個人年金の運用実績の推移



最後に、今後、物価が上昇した場合、今の手持ちの資産を25年後にどのくらいに増やしておかなければ、実質の資産が目減りするのかについても、参考までに考えてみたいと思います。


物価が年1%ずつ上昇した場合、128.2%、
年2%ずつ上昇した場合には164.1%という計算になる。

そういう意味では、個人年金保険、元本確保型の確定拠出年金は守りの運用、
変額年金保険、元本変動型の確定拠出年金は攻めの運用となります。



※ 年金保険はソニー生命のパンフレットのデータを参照しています(2015年11月)。 
    また、記事の無断での転載はご遠慮ください。


記事最終更新日:2016年7月6日