そこで、今回は、「有事の金」とも呼ばれる「金」という金融商品について考えてみた。
金のメリットは、
インフレに強く、世界中で換金できることだ。
通貨や株式と違って価値が0になることもない。
また、不動産と異なり、保有に税金はかからない。
金のデメリットは、
利息が発生しないこと、
値動きが大きいこと。
金地金や金貨の場合、盗難リスクもある。
また、買い付け手数料も発生する。
金保有の目的は、
長期保有を前提とした資産保全ということになる。
財政破綻時の安全度合で言うと、
以下のような感じになると思う。
金地金
>タンス外貨預金>タンス円預金
>円預金(預金保険対象内)
>確定拠出年金
>外国債券>社債>外貨預金
>変額保険(貯蓄性のある保険)
>米国株>日本株
円は預金保険で保護されても、
ハイパーインフレが起きてしまっていては、
価値は極端に下がってしまうことが考えられる。
通常のインフレでの運用という観点では、
こんな感じか。
>確定拠出年金
>米国株>日本株
>変額保険(貯蓄性のある保険)
>金地金
>外貨預金>外国債券
>タンス外貨預金
>円預金>タンス円預金
10年・20年の長期で見れば、価格変動は以下のようになる。
金地金
現在(2015年12月) 1g=4,240円
10年前との比較 1,967円、 115.55%
20年前との比較 1,316円、 222.18%
ダウ平均株価(米国株)と比べてみても、そんなに差はない。
米国株
現在(2015年12月1日) 17,5522.17ドル
10年前との比較 10,717.50ドル、63.77%
20年前との比較 5,117.12ドル、 243.00%
《補足1》金価格の変動要因
(上げ要因)
需給要因:需要の増加、年金ファンドの参入
経済要因:世界的金利の低下、インフレ(原油価格)の上昇、国際的金融不安の発生
政治要因:突発的政情不安、金生産国の内政不安、
その他:天変地異の発生
(下げ要因)
需給要因:金産出国の増産
経済要因:世界的金利の上昇、インフレ(原油価格)の低下、中央銀行の金放出
政治要因:緊張緩和
《補足2》金資源埋蔵量と金の国別生産量
(U.S.Geological Survey,Mineral Commodity Summaries, 2014)
(GFMS World Gold Survey 2014)
《補足3》税金について
消費税:
金地金や金貨を購入する場合、購入金額に消費税が加算される。逆に、売却する場合は買取価格に消費税相当額が上乗せされて支払われるので、実質的な負担はない。
譲渡所得税:
金地金や金貨を売却し売却益が出た場合は譲渡所得として扱われ、総合課税方式による申告納税となる。この場合、地金などの売却益とその他の譲渡所得を合わせた金額に対して、年間50万円までの特別控除がある。
また、購入後5年以内での売却益は「短期譲渡所得」、5年超では「長期譲渡所得」として次のように扱われる。
○短期譲渡所得=売却益-50万円
○長期譲渡所得=(売却益-50万円)×1/2
積み立てなどで継続して購入した金・プラチナの売却益は、原則として雑所得扱いとなり特別控除はない。また、給与所得者(2千万円以下)は給与以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要。
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記事最終校正日:2016年1月31日